白い雪が降り積もるように
彼女は俺と母さんの話を聞いていたのだ。
俺が彼女の父親に殺されかけたことを。
頭の良い彼女のことだ。
その言葉を聞けば、報復で父親の会社が潰されたのだと理解する。
己が行おうとしている復讐が父親が元凶だと知った彼女はパニックに陥り、目的を見失ってしまったのだろう。
「依良、てめぇはこの女が何の為に蓬條に来たか知ってんのか?」
良威がそう問うてくるということは良威も彼女の目的を知っているということ。
女だということも知っている。
恐らく、協力者だろう。
良威は蓬條の跡取りになれないくらいなら蓬條が無くなっても構わないと思っている。
そんな奴が蓬條にいると分かれば、彼女が駒に使わないわけがない。
俺が何も答えないことを肯定と受け取ったのか、良威はベッドの傍にある椅子に座った。