白い雪が降り積もるように
「……コイツ、こんな小せぇ身体ですげぇ意志が強くて、決めたことを曲げねぇみたいなんだ」
彼女を見つめる良威の目は穏やかだ。
こんな良威を見るのは生まれてからずっと一緒の俺でも初めてかもしれない。
多分、良威は──。
「でも、今は揺らいでる。……依良、コイツに何した?」
キロリと睨んだきた良威に、俺は小さくため息を吐きながら答えた。
「何もしてないよ。ただ、この子が俺と母さんの話を立ち聞きしてたんだよ」
「立ち聞き?」
「あの事件のことだよ」
≪あの事件≫と言えば良威も感づいたようで、片手で頭を押さえた。
それもそうだ。
殺されかけたのは俺だけじゃない。
良威も俺と一緒に殺されかけている。
恐らく、良威は彼女の本名と目的を聞いた時点で彼女があの男の娘だということに気づいていただろう。