白い雪が降り積もるように
「俺はてめぇのそんな無自覚なところがムカつくんだよ」
「は?」
「さっきのそいつの行動を見て何とも感じないのか?」
さっきとは多分、彼女が俺に助けを求めているように手を伸ばしてきたときのことだろう。
それが何だというんだ。
「そいつは最初にいた協力者である俺の手を振り払った。でも、後から現れた憎い相手であるてめぇの助けを求めた。その意味が分かるか?」
……分からない。
そんな感情が顔に出たのか、良威は椅子から立ち上がって俺の胸ぐらを掴んできた。
間近にある良威の顔は悲しみも苛立ちも憎しみ も織り混ざった表情が浮かんでいる。