白い雪が降り積もるように
5.残酷な真実≪後編≫
頭が酷く重い。
目を開けたことにより、視界が微かに明るくなる。
ぼやける視界には二つの影。
でも、次第にはっきりとしていき、その二つの影に私は身を強張らせた。
そこにいたのは私に憎しみを抱いているかもしれない私が憎んでいる人だったから……。
「目が覚めた?」
蓬條依良は目覚めた私に声をかけてきたが、私は身体を起こして身を守るように布団を引き寄せた。
憎しみを抱いていたはずなのに、今は何故か恐怖が心を侵食している。
非があるのは蓬條だと思っていた。
でも、実際はお父さんに非があった。
そんなお父さんがいない今、その非情を向けられるのは目の前にいる私だ。
所謂、今の私は飛んで火に入る夏の虫状態だ。
そんな私の反応に、蓬條依良は苦笑いを浮かべる。