白い雪が降り積もるように
「──って感じかな」
蓬條依良は私がショックを受けないようにと言葉を選びながら話してくれたけど、事実は変わらなかった。
蓬條紗良の弟の友人が私のお父さんだという事実は──。
「銃で撃たれたのは……」
話の流れで蓬條依良と良威のどちらが撃たれたか分かっていた。
それでも、聞かずにはいられない。
「俺だよ」
蓬條依良は自嘲気味に笑うと、着ていたシャツの襟を広げた。
露になる鎖骨より少し下の辺りに醜くひきつったように残る銃で撃たれた跡。
その位置はあと少しずれたら心臓だったという場所だった。
パニックを起こしていたとはいえ、人の命を奪いそうになったお父さん。
生死をさ迷った彼と命を取られそうになった良威。
そんな二人を命を奪おうとした男の娘の私が利用し、奪おうとしていた。