白い雪が降り積もるように


「それより、この前の蓬條依良の話だけど。アンタ、彼を嫌ってるくせにあの時助けようとしたのね」




蓬條依良がお父さんに事故で撃たれたとき、その命を助けようとしていたのは紛れもなくその場にいた良威だ。





嫌悪するほど双子の兄を嫌っているのに、何故、助けようとしたのだろうか?




「俺にもわかんねぇよ……」




「は?」




「でもさ、最近になって叔父さんが何であんなことをしたのか分かった。男であろうと女であろうと何があっても大事にされんのは一番最初に生まれた奴で、後から生まれた奴は予備だってな」






蓬條は女であろうと男であろうと第一子が跡継ぎと決まっている。




それ以降に生まれた者は言い方は悪いが、跡継ぎに何かあったときの≪予備≫。




それは跡継ぎであった母にも跡継ぎである双子の兄にも分かってもらえない≪予備≫の宿命が、蓬條圭二や良威を狂わせたのだろう。





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