白い雪が降り積もるように


「紗也、ちょっと待って!はぐれる!」




人混みに紛れてしまいそうな妹を呼び止める兄の声を聞いて、紗也様は素直に足を止めた。





私達が追い付くと紗也様は私と蓬條依良の間に入り、片方ずつ手を握ってくる。




小さくて温かい手だった。





「これなら離れないでしょ?」




満面の笑顔でそんなことを言われては可愛くて、何も言えない。




紗也様、無邪気すぎて天使過ぎる……。



あまりの紗也様の可愛さに胸が高鳴るが、周りにいる人達の会話にそれはすぐに治まった。





「見て、あの三人。超美男美女だし、子供も可愛い!」





「えー、パパとママ若すぎない?兄妹なんじゃないのー?」




……超美男美女?





……紗也様が子供だったら私は九歳で産んだのか?





その前に蓬條依良と夫婦とか兄妹とか勝手に妄想するの止めて欲しいわ。





そして、何故、カップルという言葉が出ない?




そんなことをモヤモヤと考えていると、吹き出した声がした。







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