白い雪が降り積もるように
でも、達也さんはとても穏やかで優しそうな人だ。
そんな人が冷酷非道な蓬條紗良の秘書であり、夫なのだろうか?
頭を傾げながら達也さんの後を着いて行っていると、彼はクスリと笑った。
「今の紗良は本当の紗良ではありませんよ」
「え?」
私の考えを読んだように達也さんは言った。
「それはどういう──」
問い掛けようとした矢先に、達也さんはとある部屋の前で足を止めた。
位置的には屋敷の三階、屋敷の中を見渡せる真ん中の部屋だ。
「此処が息子、依良の部屋です」
この部屋の中に奴の息子がいる。
どんな男なのだろうか?
母親同様、冷たい目をしているのだろうか?