白い雪が降り積もるように
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「いた……」
東屋の傍に着くと東屋のベンチに座り、池を見下ろす蓬條依良の姿を見つけた。
そっと近付くと彼の肩に持ってきたコートをかける。
「……風邪引きますよ」
そう声をかければ、彼は首だけで私を一瞥するとまた池に視線を落とした。
池にはすっかり暗くなった空に鎮座する三日月が映っていて、時折風に揺られてその姿をぼやかしている。
その場に私と蓬條依良しかいないせいか静かで、風が草木を揺らす音しかしない。
そんな静寂を割いたのは彼の声だった。