白い雪が降り積もるように
数年前。
「依良、この二人は玖下摂紀と玖下律生。お前の新しい付き人だ」
そう言って、母親が俺の前に突き出したのは年の変わらない二人の少年だった。
「この二人は≪あの組織≫の……三月からの紹介だからイマイチ信用できんが、腕は確かだ」
三月(ミツキ)とはアリスの母親で、母さんとは友人同士であり、とある組織のトップでもある。
あの組織の紹介ということはこの二人は……。
「何故、殺し屋を俺の付き人に?」
その組織は公にはされていないが、法で裁けない犯罪者を裁くために殺し屋を育て政府が飼い慣らし、設立された組織だ。
その組織に三名家は噛んでいる。
藤邦はその組織のトップを、寿永はその組織のバックアップを、蓬條は資金援助をしていた。
まあ、俺からしてみればそんな組織の出身だろうが何だろうが、関係なかった。
ただ、何故彼らを付き人にしなくてはならないのかと疑問に思ったのだ。