白い雪が降り積もるように
「兄貴……てめぇ……」
「その手を離せ。お前ごときが触れて良い方じゃない」
摂紀は律生の襟を掴み、俺の上から退かせた。
その拍子に首から手が離され、一気に肺に空気が入り込んで来たせいで咳が込み上げてくる。
咳をしながら身体を起こすと、目の前の二人へ視線を移した。
でも、次の瞬間に直視しているのも辛い光景を目の当たりにする。
「お前を甘やかした僕が悪かったな……」
摂紀が弟である律生の首を跳ね落としていた。
血を吹き出しながら痙攣を起こして倒れる身体と、跳ねた拍子に飛んだ首は池へと落ちていく。
目の前は再び真っ赤に染まる。
反らしたい光景なのに、俺の視線や首は固められたかのように動かない。