白い雪が降り積もるように
「依良、何処も怪我はない?」
摂紀は身体に返り血を浴びながら声をかけてきた。
怪我はない。
でも、首にはまだ絞められていた感覚が残っている。
返事をしたいのに、声が出ない。
そんな俺の様子に、摂紀は深く頭を下げた。
「愚弟が申し訳ございませんでした」
「……………」
「律生の本性を隠していたのは私にも責任があります。死んでお詫びをするしかございません」
悔しさで握った摂紀の手からは血が流れ落ちている。
お詫びなんていらない。
そんなことされたって、全てが元通りになる訳じゃない。