白い雪が降り積もるように
「顔を上げろ」
俺はゆっくり立ち上がると、摂紀に顔を上げさせた。
やはり、摂紀の顔には弟がやってしまった過ちに対する懺悔と弟を殺めてしまった悲しみに満ちていた。
……全ての元凶は俺か。
「摂紀……、お前に辛い思いをさせて済まない……」
「いえ、これは私が──」
「今は……友人として俺と話してくれ……」
敬語は聞きたくない。
壁があるみたいだ。
でも、俺はこれから摂紀との間に壁を作る。
「何も死ぬことはない」
「でも……っ!」
「≪玖下≫」
俺の言葉に、摂紀の目が揺れる。
それもそうだ、今まで名前で呼んでいたのに苗字で呼ばれたんだ。
何か感じ取ったのだろう。
そんな摂紀……、玖下の反応を知りながらも俺は彼に残酷な約束をさせた。