白い雪が降り積もるように
南向きの日当たりのいい広い部屋には格子窓から暖かな日差しが入り込んでいる。
広い部屋は几帳面と言っていい程片付けられていて、寧ろ殺風景と言っていい。
そんな部屋の中には仕えるべき主の姿はなかった。
「おかしいですね、この時間はいつもなら部屋にいるのに……」
「依良様に何かご用ですか?」
頭を捻る達也さんに脇から声がかかる。
その声がした方を見ると、背の高い男の人がいた。
「玖下さん、丁度良かった。紹介します、この方は本日から依良の世話係の篠田冬季君です」
「よろしくお願いいたします」
「ご丁寧に。申し遅れました、私、依良様の付き人をさせて頂いております、玖下摂紀(クゲ セツキ)と申します」
男の人──、玖下さんは丁寧に頭を下げてきた。