白い雪が降り積もるように
でも、分かってる。
全ての不幸は俺が生きているからだ。
もう生きることに執着はない。
殺したいなら殺せば良い。
ただ、俺が死ねば、玖下の生きる理由が無くなってしまう。
だから、俺は玖下を生かすために呼吸をする。
「……行くよ」
玖下にそう声をかけて、彼を連れて東屋を後にする。
歩く度に切る風が濡れている頬を撫でていく。
これが何に対する涙なのかは分からない。
ただ、奥から溢れて来るから流すだけだった──。
≪依良side end≫