白い雪が降り積もるように
4.狂い始めた日
「──それから俺は高校に行かなくなった。行っても、律生との思い出が多過ぎてどうしようもない気持ちになるから」
過去の話をしてくれた彼の横顔はさっきと変わりはない。
でも、彼の話してくれた過去はあまりにも残酷で、悲しいものだった。
親友だと思っていた人に裏切られ、殺されかける。
それは辛く、悲しいこと。
そして、同時に教えられた玖下さんの過去。
玖下さんがあんなに殺気やナイフの扱いに長けていたのは殺し屋だったで、主である蓬條依良を守るために実の弟を殺していた。
そんな玖下さんも蓬條依良との約束を守り、傍に居続け、彼を守っている。
蓬條依良も殺されかけた人の兄を信じ、罰を与えることなく、約束という縛りで傍に置き続けている。
家族の復讐と言って、復讐相手の息子を手にかけようとしている私とは大違いだ。