白い雪が降り積もるように
「意外と泣き虫だね、君は」
「うるさいですね。私だって人間です、人の辛さや悲しみは分かります」
「知ってるよ。君は人の辛さや悲しみを理解できる優しい子だって。だから、俺のところに復讐に来たんでしょ?」
そう言って、彼は私の頬から手を離し、池の方を見た。
思えば、此処は玖下さんの弟さんが死んだ場所だ。
彼は何を思って此処に来るのだろう?
裏切りを知り、親友だった人を失った場所に。
そんな私の感情を読み取ったかのように、蓬條依良はポツリと呟いた。
「……此処に来れば、自分に言い聞かせられるんだ」
「?」
「俺は生きてたらいけない存在なんだって」
「……っ」
その言葉を聞いて、いても立ってもいられなかった。