白い雪が降り積もるように
「俺の名前……呼んでくれない……?」
熱っぽさの感じる眼差しが私を捕らえて、離さない。
「依良様……?」
「違う……、呼び捨てで呼んで」
呼び捨て!?
何故に?
え、蓬條依良に何が起きたの?
え、何がどうあってそうなるの?
まさか、池に落ちて頭打った?
内心パニックになりながらも、熱っぽい眼差しを向けられては呼ばなくてはいけないように思えて──。
「≪依良≫」
「……もう一回」
「≪依良≫」
「……もう一回」
それからも何回も名前を呼ばせる彼。
……いい加減、恥ずかしいんだけど。
そして、呼んだ回数が二桁になりかけた時。