白い雪が降り積もるように
「まあ、良い。駒はまだいる」
パソコンのキーボードを何回か触ると画面が切り替わった。
そこにはベッドの上で、懸命に足を動かそうとしている少女が映っている。
そんな彼女の姿に男は妖しい笑みを浮かべ、パソコンの脇の写真を見た。
「お前の娘達は本当に可哀想なくらい真っ直ぐだな。お前にそっくりだ、太雅」
写真には若い頃の彼と今は亡き彼の友人が写っていた。
彼にとって友人もその娘達も自分の恨みを晴らすための駒でしかない。
自分を捨てた蓬條への恨みを晴らすための──。
「……今度こそ、あの女へ復讐してやる」
男は持っていたマグカップを壁へと投げつけた。
壁に当たり、砕け散ったマグカップを一瞥すると友人と写る写真の脇にあるもう一枚の写真を見た。
そこには彼自身と両親、そして──。