白い雪が降り積もるように
「だ、誰ですか!?」
「君は可哀想な子だ……」
「え?」
目深に帽子を被っているから顔は見えない。
でも、声は単調で抑揚がなく聞こえる。
私が可哀想……?
そんなの知ってるよ……、親も夢も全部奪われたんだから……。
あの憎き蓬條に──。
「君はあの男の正体を知らないね?」
あの男?
「あの男の本当の名前は蓬條依良、蓬條家の跡取りさ」
「!?」
「君のお姉さんもそれは知っていたはずなのに、教えてくれなかったよね?可哀想に、二人から騙されたんだよ、君は」
え、依良さんが蓬條家の跡取り?
蓬條に勤めてる冬雪姉ならそれを知っていたのに、黙っていた?
何で?
私を騙すため?