白い雪が降り積もるように
私はおもむろにウィッグを外すと、近くに置いてあったハサミを手に取った。
そして、背中まである髪をそのハサミで切り落とした。
「ちょっと何してるの!?」
蓬條依良が私の奇行を止めようと手を掴んできた。
でも、私はその手を掴み、強引に彼を押し倒すと馬乗りになってその首にハサミを振り下ろした。
──はずだったのに、ハサミの切っ先はカーペットに刺さる。
蓬條依良が避けたんじゃない。
私が彼を殺すのを躊躇ったのだ。
「アンタを殺したいくらい憎い……」
「うん」
「でも、それ以上に秋葉の苦しみに気付いてあげられなかった、嘘をついてしまった私が憎い……」
「うん」
「でも、私には自ら死ぬ勇気もアンタを殺す勇気も無い……」
蓬條依良の頬にポタポタと滴が落ちる。