白い雪が降り積もるように
「あぁ……、バラバラ……」
自棄になってハサミで切り落とした髪の毛は毛先がバラバラで、整っていない。
例えるなら落武者みたいだ。
どうしよう、整えたいけど何もする気にもなれない。
そんなことを考えていると、部屋のドアがノックされた。
訪問者に煩わしさを感じながらも返事をすると、開いたドアの先に玖下さんがいた。
「やはり、髪を揃えていませんでしたね。依良様の言うとおりだ」
少し呆れたように言う玖下さんの手には髪をカットするための道具が一式持たれている。
玖下さんは私の方へ歩いてきた。
「髪を整えます。洗面所へ参りましょう」
私は玖下さんに促されるがまま洗面所へ移動して、彼が用意してくれた椅子に座った。