白い雪が降り積もるように
「玖下さんの手……、何か懐かしいです……」
「懐かしい?」
私の言葉に彼の手が止まった。
でも、何事も無かったように動き始める。
玖下さんがあの男の子なわけないよね……。
私が幼稚園で、あの男の子が小学生くらいだったから今その男の子は玖下さん位の年のはずだ。
そんな偶然があるわけがない。
そう思っていると、玖下さんが口を開いた。
「少し……昔話をしても良いですか?」
「え?」
「興味が無かったら聞き流してください。昔、私が小学生の頃、遊園地で幼稚園位の迷子がいたんです。その子は女の子だったのですが、親とはぐれたのか一人だったんです」
玖下さんは私の髪を洗いながらポツリポツリと話し始めた。