白い雪が降り積もるように
「紗良、本当に良いのかい?」
書斎でパソコンに向き合う妻に、達也はお茶を出しながら問うた。
「何が?」
「依良と篠田冬季のことだよ。あの子は跡取りだ、そんな依良にあの娘を近付けて、万が一何かあったら……」
「そうなったら、困るのはあの小娘だ。蓬條の力を甘く見ているとどうなるか分からせてやろう」
紗良は冷たくそう言い捨てると、パソコンから手を離して彼が出したお茶を飲む。
「それに、依良が死んでも《替え》はいる。まあ、奴に蓬條を治められる能力があると思えんがな」
達也は何も言わずに妻を見つめていた。
息子でさえも駒として扱う彼女は冷酷非道だ。
しかし、それでも彼女は達也にとって最愛の妻であり、息子達の母親でもある。