白い雪が降り積もるように
すると、玖下さんはあの時と同じように手を握ってくれる。
そして──。
「君が何を迷っているのか分かってる。なら、僕が道標になって君の大切な人を見つけてあげるよ」
あの時と同じ言葉をかけてくれた。
その言葉にもうどれだけ流したか分からないくらい流れた涙が溢れてきた。
「卑怯ですよ……、玖下さん……。貴方が道標になったら蓬條依良を殺せないじゃないですか……」
そう言った私だったけど、握られた玖下さんの手は離せない。
この人が道標になったら、蓬條依良を殺せないことになる。
けど、迷子からまた救い出してくれるかもしれない彼の手を離せなかった……。
そんな私の言葉に、玖下さんは「それだけ言えれば、僕は要らないかな」なんて言って、笑っていた。
でも、私は知らなかった。
私を救い出そうとしてくれている彼が抱えている闇が私以上に深いことを──。