白い雪が降り積もるように
「これは……?」
差し出された封筒の真ん中には≪蓬條依良様≫と書かれていて、その文字は何処かで見た覚えがあった。
封筒の後ろを見て、その文字に見覚えがあった訳を知る。
「何故……、秋葉がアンタに……」
封筒の後ろの差出人の名前は先日自ら命を絶った妹のものだった。
何故、秋葉が蓬條依良に手紙を?
それに切ってもないのに、彼に届いているの?
私の疑問を悟ったのか、蓬條依良は机に寄り掛かりながら答えてくれた。
「秋葉ちゃんの病室を片付けたナースが見つけて、アリスに渡したらしい。それで、俺のところに届いたんだよ」
ああ、なるほど。
そういえば、秋葉とお姉ちゃんが入院していた病院はアリスさんの家が経営する病院だったんだ。
だから、切手がなくても自然とアリスさん伝てで彼に届いたのか。
でも、納得がいかない。
「何故、秋葉がアンタに手紙なんて……」
「それは中の手紙を見てごらん」
私は彼に促されるがまま、封筒の中から手紙を出して目を通した。