白い雪が降り積もるように
「良──」
名前を呼ぼうとしたのにそれ以上は言えなかった。
何故なら、言葉を発するための口は良威のそれで塞がれていたから……。
唇が離れると、良威は俯いた。
「……お前が誰を好きなのか知ってる。でも、俺はそいつにお前を譲る気はねぇから」
それだけ言い残して、良威は降りしきる雪の中に消えていった。
良威が私を好き……?
まだ状況を理解出来ないまま窓を閉めるとその場に座り込み、 私は唇に触れた。
押し付けるように重ねられた良威の唇は外にいたからか冷たかった。
それなのに、私への想いが込められているかのように優しかった。
でも、私は無意識に唇を擦っていた。