白い雪が降り積もるように
別に良威からのキスが嫌だったわけでも、汚いと思った訳でもない。
別に良威が嫌いという訳でもない。
それなのに、何故か唇を擦っていた。
「初めてだったのになぁ……」
恋愛経験が極端に少ない私は今のがファーストキスだった。
初めては好きな人と……。
なんて女の子らしいことを考えていたけど、それは呆気なく散ってしまった。
第一、私にとって好きな人とファーストキスなんて夢のまた夢だった。
彼は私を好きだなんて思っていない。
それでも、初めては彼が良かったと願ってしまう。