白い雪が降り積もるように
でも、彼と初めてを出来ないのであれば、同じ顔をした良威に奪われてしまった方が良かったと思う自分がいる。
蓬條依良と良威が別人だとは分かっている。
それなのに、良威とではなく、蓬條依良とキスしているようにも思えてしまう。
でも、そう思ってしまうのは良威を彼の代わりとして見ているのと同じ。
良威が嫌う≪換え≫としての扱い……、良威を≪換え≫としてしか見ていない蓬條紗良と同じだ……。
「私……最低だ……」
更に唇を擦る袖に力を込めた。
良威は私の何処を好きになったのだろうか?
こんな復讐に身を落として、それをこなせなくなって……。
こんな人を≪換え≫のように扱う私の何処が良かったのだろうか?
「ごめん……良威……」
私の謝罪が良威に今、届くことはない。
それでも、私は謝り続けた。
その謝罪が私しかいない部屋に溶けていったとしても……。
そして、私は気付いていなかった。
良威とのキスを二人の人物に見られていることに──。