白い雪が降り積もるように


本館のとある一室のベランダか。




そこには普段は結い上げている髪を下ろした女が下を見下ろしている。




彼女が見つめる先には二人の男女がいた。




片方は彼女の次男、もう一つは己に復讐するためにやって来た少女のものだ。




二人の重なった影は遠くから見ていても分かった。




彼女はそこから視線を一度離すと、同じ階のベランダを見た。




そこには彼女と同じく場所を見下ろす彼女の長男の姿があった。




長男が二人の影を見て部屋に戻るのを見ると、彼女自身も部屋に入った。




「風邪引くよ、紗良」




室内のベッドには彼女の夫と娘がいて、彼は戻ってきた彼女をベッドに招き入れようとする。





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