白い雪が降り積もるように


「それに、あの二人がそう簡単に結ばれる訳がないしな」




「依良はそういうことに鈍そうだし、良威が負けを認めると思えないからな」




達也も己の息子達の性格を熟知している。





長男はそういうことに疎いし、次男は負けず嫌いだ。




ことが淡々と簡単に進むわけがない。




「それもそうだが、一人忘れてる」




「?」




「いるじゃないか、恋を知らないダークホースが」




「ダークホース?……っ、まさか……っ」




達也の反応に紗良はクスクスと笑った。




そして──。




「さて、面白いことになってきたな……」




目を細めて、口角を持ち上げた。




その姿は今後起こるであろう≪楽しい≫ことを予想しているようだった。



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