白い雪が降り積もるように


「……そのマスク、どうした?」



「……別に」




ヘルペスが出来たなんて嘘が通じる相手じゃないから素っ気なくそう答えた。




すると、いきなり良威に手を掴まれ、すぐ傍の部屋へと連れ込まれる。




そこは応接室らしく、入ってすぐにテーブルとソファーが置かれていた。




そして、私はそのテーブルへと押し倒される。



両手は頭の上で固定された。




「何す──」





意味の分からない行動に抗議しようとしたら、マスクを勢いよく下げられる。





「何だよ、この唇……?」




「…………………」




「擦ったのか?」




「…………………」




「俺がキスしたからか?」





何も言わない私の反応が肯定と思ったのか、目の前の良威の顔が歪んだ。




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