白い雪が降り積もるように
「……んでだよ」
唇を噛み締めた良威は私の顎を掴んで固定し、昨日のように唇を寄せてきた。
が、私も昨日とは違う。
私は自由のきく足で良威を蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた良威は壁に背中を打ち付けて、痛そうに呻いた。
「自業自得だからね。それに、私を拘束するなら手足を塞がないと」
空手の他に、柔道をやっていた私に寝技で勝てるわけがない。
私は無理矢理下げられたマスクを上げると、良威を睨み付けた。
「昨日といい、今日といい、私をどうしたいの?」
「………………」
俯いて何も答えない良威に苛立ちを感じ、私は良威の襟首を掴み上げた。
「何か言いなさいよ!アンタ、私を──」
「俺はただ、お前が好きなだけだ!昨日も言ったろ!」
私の言葉を遮って、良威は怒鳴った。
その声は怒鳴ったというよりも悲痛な叫びのようにも聞こえた。