白い雪が降り積もるように
「……篠田冬季君だっけ?」
「は、はい!」
急に名前を呼ばれて、反射的に握り締めていた拳をほどく。
「歳が近いようだし、これからよろしく 」
「よろしくお願いいたします」
「うん。じゃあ、今日はもう休んで良いよ。玖下、部屋に送るついでに軽く屋敷の説明と案内してあげて」
「畏まりました」
そう玖下さんに命じると当の本人はカウチに寝転がり、目を閉じてしまった。
……寝るのかい。
そんなことを心の中で突っ込んでいると玖下さんに肩を叩かれた。
「参りましょうか」
玖下さんは身を翻すと、蓬條依良の私室を出ていった。
私もその後を慌てて追いかける。