白い雪が降り積もるように

6.恋というもの



「依良は守りたいと思わせるようなものを持っていて、依良を護衛するようになってから僕は感情を取り戻すことが出来たんだ」




過去を思い出すかのように空を見た玖下さんは何処か懐かしそうだった。




でも、私は壮絶すぎる彼の過去に、胸が締め付けられるような感覚に陥る。





罪を犯させようとする母親に、罪を犯す弟。




その二人に挟まれて、玖下さんは本当に苦しかったのだろう。




それに加えて、政府公認で人を殺すことを役割まで担ってしまった。





犯罪者とはいえ、人を殺すのだ。




そんな地獄のようなことをしていれば、感情を無くすのも当然。




でも、玖下さんをその地獄から解放したのは蓬條依良だった。




私も彼に惑わされ、復讐を遂げられずにいる。




彼には人を罪から救いだすような力があるように思えた。





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