白い雪が降り積もるように
「でも、依良が心から慕っていたのは僕じゃなくて律生だった」
そう、蓬條依良からも聞いていたけど、彼が親友と慕っていたのは罪を犯すことに躊躇いのない弟さんの方だった。
「依良が楽しくて、律生が楽しそうならそれでよかった。でも、律生はあの男と手を組んで、依良を殺そうとした」
玖下さんの拳が力強く握られたのが見えた。
あの男?
一体、誰のことなのだろう?
疑問に思ったけど、今は玖下さんが話をしてくれている。
釘を刺すわけにはいかない。
「……僕は実の弟の命よりも依良の命が大事だった。だから、僕は此処で──」
律生を殺した……。
その言葉を言った直後に、頬を冷たい風が撫でていった。
まるで、律生さんが今この場にいるように思えた。
そう思うと背筋がぞくりとする。