白い雪が降り積もるように
「律生は素直すぎたんだ。だから、母親からもあの男からも良いように利用されたんだ。でも、そんな律生を正せなかったのは僕の責任だ」
「……違います」
「違わないよ。律生を正せたのは母親以上に傍にいた僕なんだから」
「……っ」
玖下さんが自分を責めないように言ったつもりだったけど、逆効果だった。
「律生が毎晩夢に出てくる度、律生は僕に恨み言を言うんだ。目を覚ませば、手には律生の首を落とした感覚が蘇ってくる」
すると、玖下さんの頬にまた涙が伝う。
そして、彼は東屋の建物の柱に寄りかかると、そのまま膝を抱えて座り込んでしまった。
蓬條依良が苦しんだと同時に玖下さんも苦しんでいる。
玖下さんも彼と同様に自分が悪いと自分を責めていた。
哀愁溢れる姿が彼と重なって、私は玖下さんの頭をぎゅっと抱き締めた。