白い雪が降り積もるように
「玖下さんが彼を守っているように、彼は玖下さんを生かそうとしているんです。ただの護衛ではなく、友人として……」
「でも、依良は僕を名前で呼ばなくなった。それは何故……?」
「それはもう大切な誰かを失いたくないから自ら壁を作ったんだと思います」
すると、玖下さんが鼻を啜る音とため息を吐く声がした。
「……馬鹿だな、依良。そんな壁作らなくても僕は簡単には死なないよ……」
少し笑いが混じったような声が聞こえる。
すると、玖下さんは抱き締める私の腕に触れてきた。
弱々しくて、何かに必死にすがる。
そんな風に感じられた玖下さんの手に、私は更に玖下さんの身体を抱き締める腕に力を込めた。
「……君は暖かい子だね。依良が気に入るのも頷ける」
「え?」
玖下さんの言葉に驚いて身体を離した。