白い雪が降り積もるように
≪依良side≫




東屋から部屋に戻ると、俺はそのままベッドに倒れた。




「散歩なんかするんじゃなかった……」




眠れなくて、散歩をしていたら玖下の彼女のキスシーンを見てしまった。




彼女が誰かとキスするのを見るのは二度目だ。




一度目は昨日の良威と、二度目は玖下と。




何故、こんなにも俺はタイミングが悪いのだろうか?




それに、彼女も彼女だ。




誰に対しても愛想よくしているから惚れられるんだ。




「……俺にはそんなことしないくせに」




無意識に呟いた言葉に、ハッとした。




今の言葉は何だ?




まるで、俺が彼女にそんな風に見られたいと思ってるみたいだ。




俺は自分の感情が何なのか分からず、頭がこんがらがってきた。




< 328 / 422 >

この作品をシェア

pagetop