白い雪が降り積もるように


「大丈夫ですよ、私は。今は人よりも自分の身体を労ってください」




そう言えば、彼は眉間にシワを寄せて険しい顔をした。




「……君が俺の心配をするなんて意外だな」




「嫌味を吐く元気があるならいなくても平気ですね」





せっかく、人が心配してあげたのに……。





蓬條依良を睨み付けていると、タイミングよく玖下さんが戻ってきた。





「今、皆実のお医者様が来てくださいます」





「皆実ってことはアリスの……。アイツにはバレなかったよね?」




「……申し訳ございません。早急に診てもらわなくてはいけないと判断し、皆実の院長にお電話しました」





「院長ってアリスの叔父様か……。終わったな……」





蓬條依良はぐったりと枕に突っ伏した。




何か憐れ……。




アリスさんがどんな人か私もよく知っている。




彼が風邪を引いていると分かった彼女がすることといえば──。





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