白い雪が降り積もるように
「……私のようにはならないでね、冬雪ちゃん。後悔だけはしないで、自分の気持ちには素直にね」
そう言った彼女の顔は今にも泣き出しそうなくらい悲しそうだった。
アリスさんはそれだけ言い残して、走り去っていった。
今の言葉はなんだろう?
まるで、アリスさんは気持ちを伝えられず後悔したことがあるような言い方だった。
でも、私は彼に想いを伝えるつもりはない。
彼が私を好きになるなんてあり得ない。
自分の命を取ろうとしていた女を好きになる男が何処にいるだろうか?
そんな男、何処にもいる訳がない。
「叶わないって分かってても諦められないな……」
あぁ、情けないな……。
恋はこんなにも人を弱くするんだね。
私は堪えきれない涙を拭うと、蓬條依良の部屋へと向かった。