白い雪が降り積もるように

2.幸せに出来ない恋



蓬條依良の部屋に戻る途中、私は蓬條紗良と廊下で遭遇した。




「依良が風邪を引いたようだな」




行く手を阻むように彼女が立っているものだから私は立ち止まるしかなかった。




「……はい。でも、皆実の院長先生が来てくださったので、回復に向かわれるかと」




「皆実の院長……三月の義弟か。なら、平気そうだな」




蓬條紗良は私から息子の様子を聞き出したかっただけらしく、歩き出そうとした。




聞き出さないで、母親なんだから自分で様子を見に行けば良いのに。





そんなことを心の中で思っていると、彼女はチラリと私を見てきた。




「紗也が依良を君に託したようだが、私は君を認めないからな」




「……っ!?」




この女は何処までお見通しなんだ?




それとも、誰か私に監視でもつけているのか、カメラでもつけているのか。




そう錯覚してしまうほど、蓬條紗良の情報は早い。





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