白い雪が降り積もるように
すると、ドアを開けた先には玖下さんが立っていて、私はその胸に突っ込む形になった。
「いだ!」
「篠田さん!大丈夫ですか!?」
玖下さんの胸板……、筋肉質で痛い……。
ぶつけた鼻を押さえていると玖下さんが顔を覗き込んできた。
彼にマスク越しのキスをされた以来のどアップに、私は驚いた。
仕事の時は極力平静を装っていたけど、さすがに数日ではあの時のことを思い出してしまって緊張してしまう。
それに気付いたのか、玖下さんは慌てて視線を反らした。
「す、すみません。でも、鼻血は出ていませんし、赤くなっているだけのようなので良かったです」
ホッとしたように肩を落とした彼はそそくさと立ち去っていった。