白い雪が降り積もるように
え、玖下さん、何処行くの?
いつもなら何処に行くと行ってから立ち去るのに、今日は何も言わずに行ってしまった。
もしかしたら、玖下さんも私のように平静を装っていただけなのかもしれない。
玖下さんの意外な姿を見られて嬉しく思いながら、蓬條依良の部屋へと足を踏み入れた。
ベッドの傍に近付けば、薬を飲んで落ち着いたのか蓬條依良は穏やかに眠っていた。
顔は赤く、息は苦しそうだけど、アリスさんの叔父さんから診てもらう前よりはマシになっているように思える。
「あ、汗……」
彼の首や顔に汗が浮かんでいるのを見つけ、サイドテーブルの上にあった洗面器で傍にあるタオルを濡らした。
固く絞って、それで優しくその汗を拭う。