白い雪が降り積もるように
すると、蓬條依良はぼんやりと目を開けた。
ボーッと一点を見つめた後、彼は私の方を見た。
「風邪……うつるから……」
「まだそれを言いますか?私は大丈夫ですから、今は風邪を治すことに専念してください」
汗をポンポンと叩くように拭っていると彼は私の手を払って、身体を起こした。
「いけません、依良様。寝ていてください!」
蓬條依良を寝かせようと肩を押すけど、その手は彼の手に掴まれた。
私の手を掴む彼の手は熱があるせいか、熱かった。
「依良さ──っ!」
寝るように再度促そうとしたら、彼のもう片方の手が私の唇に触れた。
そして、下唇を親指で触れるか触れないかの近さでなぞってくる。
その触れるか触れないかの感覚が妙にくすぐったい。