白い雪が降り積もるように
「治ったんだね、唇……」
「お、お陰さまで」
「どうだった、良威とのキスは?あぁ、そう言えば、君は玖下ともしていたね」
唇を指でなぞりながら言った蓬條依良の声は冷たい。
それよりも何故、彼が良威とのキスのことを知っているのだろう?
玖下さんの時は薄々彼が見ていたのではないかと思っていた。
でも、良威の時はそんな気配はしなかったけど、知っているということは何処かで見ていたということ。
「それは……」
返答しようにも言葉が出ない。
そんな私を見た彼は苛立ったように舌打ちをした。
そして、その苛立ちが浮かぶ顔を寄せてきた。
吐息がかかるほど近くに彼の顔がある。