白い雪が降り積もるように


「……本当に腹が立つ。自分の気持ちに気付いたのに叶わないって分かってるから伝えられないことに……」




ポツリと呟いた彼の声はあまりにも弱々しく、前髪で顔が隠れているから表情は見えない。




更に顔を覆うように腕を乗せたから余計に表情は分からなくなった。





でも、腕の隙間から見えた彼の目が私を捉えていることに気付いた。





「……君を好きになんてならなければ良かった」





彼の言葉以外の音が聞こえなくなった。





それくらい、その言葉は鮮明に響いてきた。





蓬條依良はまたゆっくり身体を起こすと今度はまっすぐ私を見つめてきた。





「好きだ」





信じられない言葉だった。




彼が私を好きになるなんてあり得ないと思っていたから。






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