白い雪が降り積もるように
私も好き──。
そう伝えられたら、どれだけ幸せなのだろう。
でも、私は──。
「……私は好きじゃない。私はアンタを憎んでるんだ、好きになるなんてあり得ない」
そう嘘をついて、部屋を飛び出した。
誰もいない廊下を走り抜けて、人通りの少ない階段の踊り場で足を止める。
脳裏に彼の顔がこびりついて離れない。
好きになるなんてあり得ないと言ったときの彼の顔があまりにも悲しそうで……。
いますぐ戻って、好きだと伝えたい。
それなのに、出来ない。
自分の課した目的とあの女の言葉がそれを許してくれない。