白い雪が降り積もるように
「……まったく、依良様は何してるのかしら。女の子を泣かせるなんて……」
「え、女の子って──」
私、蓬條家の使用人の人には誰にも話してないのに……。
驚いて顔を上げれば、千早さんは穏やかに笑っていた。
「依良様に聞いたのよ。私が貴女を一番可愛がっているから知ってもらっていた方が貴女も甘えられるってね」
「……初耳です」
「あのボンボンは肝心なこと言ってなかったのね……」
千早さんは眉間を寄せて、毒を吐く。
良いのかな、こんなに堂々と使用人が主に毒を吐いて……。
疑問が顔に出ていたのか、千早さんは苦笑いを浮かべる。