白い雪が降り積もるように
「ねぇ、冬季君」
「冬雪です」
「え?」
「私の名前……、冬の雪でふゆきです。篠原冬雪、私の本当の名前です」
「綺麗な名前ね。冬雪ちゃん、貴女は依良様が好きよね?」
千早さんは優しい声音で問いかけてきた。
まるで、春陽お姉ちゃんと話しているみたいだった。
だから、何でも話せるように思えた。
「好きです……。あれだけ憎かったのに、今はそれ以上に彼が好きです……」
止まっていた涙がまた溢れてきた。
彼の目の前で言えない分、言葉に出すと想いが込み上げてくる。
すると、千早さんはまた優しく頭をポンポンと撫でて来た。